浅田真央選手のソチ五輪(後編 )
浅田真央選手。 自分のスケートへの思いを表現できての最後の笑顔。本当に美しい表情で、もらい泣きした人も多かったのだろうと思います。
SPで大きく後れを取り、『悔しさもあったんですけど、それよりは終わった後は言葉にならなくて、今まで何やってきたんだろうなと思いました』と浅田選手。 当日になっても『朝の練習は全く体が動かなくて大丈夫かなと。そういう思いになっていたのが、すごく自分でも心配でした』という状態だったそうです。
そこから、『昨日のようになっても、とにかく跳ぶという気持ちでした』という覚悟、そして『全部を見るんじゃなくて1つ1つクリアにしてやっていこうと思っていました』という、今この瞬間に意識を向ける姿勢になれたことが、自分らしいパフォーマンスを引き出して、あの最後の笑顔、そして涙につながったと思います。
スポーツにはうまくいかないことがたくさんあります。そういった色々な場面における挫折や困難の連続の中で、結果と自分に向き合いながら、逃げることなく出来ることを1つ1つ見つけ出し行動するスキル。私たち応用スポーツ心理を追求する者はこれを『ライフスキル』と呼んでいますが、浅田選手の素晴らしい『ライフスキル』をこの演技の中に垣間見たようが気がします。
アスリート達はもちろん、日常生活やビジネス上に生きる皆さん方、そして未来を背負う子供たちにも、色んなことを感じさせる内容でした。
私は浅田選手に心から拍手を送りたいですし、同じ舞台に立った鈴木、村上両選手をはじめ、他競技の代表全選手、サポートスタッフに敬意を表したいと思います。