セルフイメージでパフォーマンスは大きく変わる
言うまでもないことですが、心理状態はパフォーマンスに大きな影響を与えます。考え方で、結果が左右されると言っても過言ではありません。下記の図をご覧ください。3人の同じ実力を持った人がいて、セルフイメージが図のように異なるとしましょう。上からA、B、Cとします。
With Winning in Mind: The Mental Management System, L, R, Bassham に基づき作成 Aは自己評価が実際の実力と同じか、もしくはやや大きいくらいで、自分のことを客観視できている状態です。それゆえリスクマネジメントがしっかりでき、常に安定的に実力を発揮出来るタイプです。 Bは自己評価が実際の実力以上の状態で、自信過剰の状態です。最大限に上手くいったとしても自分の実力分しか発揮できません。ですので、セルフイメージより実力が発揮出来ないことが多く、結果的にそのことが自己評価をさげてしまい、パフォーマンスに影響を及ぼします。結果に波がある状態になりがちです。 Cは弱気になっていたり、マイナスのイメージを抱いていて自己評価が低い状態です。この場合、実際に発揮できる実力は自己評価の大きさに制限されたものしか発揮できないのでパフォーマンスは本来の実力よりも低い状態になってしまいます。 よく「ポジティブでいろ」という言葉がスポーツの現場では聞かれますが、もし「ポジティブでいる」ことが自己評価を実力以上に大きくすることだと考えているとしたら、それは誤解です。 トップアスリートと呼ばれる選手は常に自分の実力を適切に評価し、試合で起こりうるリスクを想定しています。これはともすれば、ネガティブに見えるかもしれませんがそうではありません。このタイプは、安易に「絶対勝てる」と思い込み、想定外のことが起きると焦りがでてしまうようなことはなく、常に自分の出来ること、自分のやるべきことに集中できるタイプです。本当の意味においてのポジティブでいるということは、ただ単に良いイメージを持つということではなく、リスクを想定してそれに対する対策をしっかりと事前に考えておくことなのです。 一方で、『ビッグマウス』と呼ばれる選手もいます。あえて大口をたたく選手です。もちろんハッタリだけの選手は注目すらされませんが、現在ACミランに所属するサッカーの本田圭佑選手など、最前線で活躍する選手もいます。こうしたトップレベルのビッグマウスと呼ばれる選手たちは、実は口だけではありません。2010年のW杯後に本田選手は「言葉を口で発するときは、自分に向かって話している部分がある。(中略)俺はメディアにしゃべっていることって、自分に話しているということがほとんどやから。」と言葉を残していますが、ここからも本田選手がポジティブを考え違いした『自己評価』ではなく、自分や周囲に対して自分の立てた『目標』を記憶させるために発信していることがわかるでしょう。この場合、適正な自己評価を行った上で、あえて常に心の中に大切にすべきことをとどめておくために繰り返しているのです。本当の自信過剰とあえてビッグマウスを演じているのでは、パフォーマンスも当然変わるのです。